オーディオ再生装置の心臓部をなすプリメインアンプの基本的使命はあらゆるプログラムソースからの複雑な音楽信号を忠実に増幅しスピーカーに供給することにあります。DENONではプリメインアンプの現状と将来を充分に見極め一連のシリーズに賛沢ともいえる全段対称形プッシュプル回路を採用し、その一貫した設計思想の浸透定着を計って参りました。新発売のPMA-850/IIは素材と回駱の両面から更に磨きをかけ、あくまで全段対称形プッシュプル回路を基調として、音楽を忠実に増幅するための原理として理想的な"A級アンプ"を搭載してクオリティ・アップを果し、更に出力トランジスターにEBTの採用によるパラ・プッシュプル構成をとり、"100W+100W"とハイ・パワーを実現し、余裕ある設計と共に飛躍的な"質"の向上に成功しました。
PMA-850/IIの特長
■ 至純のクォリティを保持する対称形プッシュプル回路を全段に採用
■ クォリティ・アップを計りA級動作を採用
■ EBT(PC100W)をパラ・プッシュプルで採用した賛沢で余裕ある設計・・・100W+100W DCパワーアンプ
■ A級(22W+22W)とB級(100W+100W)を両立させたDCパワーアンプ
■ 大形トロイダルトランスと大容量ブロックコンデンサーを搭載した強力電源回路
■ 高S/N(90dB以上)・高利得(42dB)・高出力(25Vrms)を実現すると共にカートリッジ実装S/Nを大幅に改善したEQアンプ
■ EQアンプでパワーアンプを直結ドライブできるダイレクトカップル方式
■ 高S/N MCヘッドアンプ内蔵
■ DENON独自のトーンコントロール方式
■ REC OUTスイッチ採用
■ 電源回路のインピーダンス低減
● 裸特性の良い賛沢な対称形ブッシップル回路を全段に採用
本機は、PMA-850、830、630に引き続き各増幅段にPNP、NPNバイポーラトランジスター構成の対称形(Fully Complementary)プッシュプル回路を採用しています。本回路の大きな特長は、従来の方式に比ベトランジスターなどの部品数が多くなりますが負帰還(NFB)に依存することなく伝送特性を向上させることが可能です。結果、この裸特性の秀れた対称形プッシュプル回路と負帰還技術によって更に伝送特性を向上させ、S/N、f特、ダイナミックレンジ、位相特性、過度的混変調(T.I.M.)ひずみを大幅に改善しています。
● EBT(PC100W)をパラ・プッシュプルで使用した賛沢な余裕ある設計・・・100W+100W DCパワーアンプ
fTが100MHzと従来のトランジスターの約5倍の周波数レンジを持ち、コレクター損失100Wという高周波出力トランジスターE.B.T.(エミッター・バラスト・トランジスター)を採用しました。このE.B.T.をパラ・プッシュプルで使用する事により、B級で100W+100Wという、賛沢な余裕ある設計となっています。
● A級(22W+22W)B級(100W+100W)を実現したDCパワーアンプ
至純のクォリティを保持する対称形プッシュプル回路の特長を最大限に生かすため、B級動作で100W+100Wとハイ・パワーを誇るDCアンプにA級動作を採用し、22W+22Wを実現しました。A級動作時において超高域100kHzの高調波ひずみ率0.03%という驚くべき数値を確保しています。また、B級動作時においても広帯域にわたるひずみの低減を計っています。
このようにB級動作とA級動作を切換え可能とする事により、幅広いシステムで音楽を楽しむ事ができます。
● 力強いパワーを生み出す強力電源部
レギュレーションの重視とS/Nの確保から大形トロイダルトランスの採用と、大容量ブロックコンデンサー(10,000μF×4)により、強力な電源部を形成しています。更にプリアンプ部への電源としてNF形安定化電源を採用し出力インピーダンスを下げ動的クロストークに万全の配慮をしています。尚、S/Nの悪化を伴うリーケージフラックス対策には万全を期しトロイダル・トランスに厳重な多重シールドを施して、電源トランスからのリーケージフラックスを完全に抑えています。
● MC力トリッジ専用・高S/Nヘッドアンプ搭載
低雑音バイポーラートランジスターを初段に16石構成のヘッドアンプで高S/N低ひずみ率を実現しています。DL-103に代表される高出力MCカーリッジから低出力カートリッジまで使用することができます。
● ダイナミックレンジの広い高S/N・高利得イコライザーアンプ
高S/N(90dB)高利得(42dB)高出力(25V)を実現したイコライザーアンプは、更にひずみの低減化を図ると同時にRIAA偏差を20Hz〜20kHzに亘って±0.2dB以内という高精度を誇っています。
● EQアンプでパくワーアンプを直結ドライブできるダイレクトカップル方式採用
コントロール機能を必要としないとき、主回路から完全に切り離すダイレクトカップル方式を採用しています。このようにダイレクトカップル方式は、パワーアンプを直接イコライザーアンプやチューナーの出力でドライブできます。これは常に最高の条件でアンプを動作させるというDENONの設計思想です。
主要規格
□ パワーアンプ部
- 定格出力:両チャンネル駆動、20Hz〜20kHz、負荷8Ω:
・B級動作時 100W+100W(T.H.D. 0.01%)
・A級動作時 22W+22W(T.H.D 0.005%)
・1kHz、負荷4Ω 150W+150W(T.H.D. 0.01%)
- 全調波ひずみ率:B級0.01%以下、A級0.005%以下
- 混変調ひずみ率:60Hz/7kHz:4/1:0.01%以下(定格出力及び1W出力相当振幅出力時)
- 出力帯域幅:
・B級5Hz〜100kHz(IHF T.H.D. 0.05%)
・A級5Hz〜100kHz(IHF T.H.D. 0.02%)
- 伝送特性:DC〜100kHz+0,-1dB(1W出力時)
- 入力感度:1V
- 入カインピーダンス:50kΩ
- 出カインビーダンス:0.12Ω以下
- SN比:122dB
□ プリアンプ部
[プリアンプ出力=PRE OUT]
- 最大出力/定格出カ:25V/IV
- 全高調波ひずみ率:20Hz〜20kHz、負荷50kΩ、入力AUX
・0.0015%(10V出力時)
・0.005%(25V出力時)
[イコライザアンプ出力=REC OUT]
- 最大出力(T.H.D. 0.01%)/定格出カ:25V/320mV
- 入力感度/入カインピーダンス:
・PHONO-1、2(MM)2.5mV/50kΩ
・PHONO-3(MC)0.42mV(カートリッジインピーダンス40Ω時)
・TUNER・AUX・TAPE:320mV/40kΩ
- 最大許容入力:
・PHONO(MM)200mV(1kHz)
・PHONO(MC)30mV(1kHz、40Ω)
- RlAA偏差:±0.2dB以内(20Hz〜20kHz)
- SN比(IHF-Aネットワーク):
・PHONO(MM)90dB(入力短絡)
・PHONO(MC)74dB(入力40Ωターミネート)
・TUNER・AUX・TAPE 105dB(入力短絡)
- 入力換算雑音レベル(IHF-A、入力短絡):PHONO(MC)147dB/V
- AUX→PRE OUT周波数特性:5Hz〜100kHz+0,-1dB(TONE DEFEAT)
- トーンコントロール可変範囲:
・BASS:100Hz±9dB
・TREBLE:10kHz±8dB
- フィルター特性
・SUBSONIC:20Hz 12dB/oct
・HIGH CUT:9kHz 6dB/oct
- ラウドネス特性:100Hz+7dB、10kHz+6dB
- 電源コンセント:
・SWITCHED 1個 100W
・UNSWITCHED 2個 Total 250W
- 電源:AC100V、50/60Hz
- 消費電力:250W(電気用品取締法による)
- 寸法:W434×H164×D400mm(含ゴム足・ツマミ・端子)
- 重量:18kg