発売にあたって
MCカートリッジの昇圧用として、トランスが巾広く愛用されてまいりました。トランジスターの特性を活かしたヘッドアンプにも人気がありますが、最近昇圧トランスに音楽性を求める音楽ファンが多くなっております。
DENONでは、最高級カートリッジDL-1000Aをすでに発売致しましたが、このDL-1000Aの卓越した音楽再生能力を、あますところなく発揮させるため、昇圧トランスの最高峰モデルとして、AU-1000を開発致しました。
カートリッジから送られた微小な音楽信号を昇圧するため、周波数特性など物理特性の追求とともに外部誘導対策すなわちトランスユニットや本体の厳重なシールド、防振構造に加え、接続コードなどを細部にわたり十分な吟味を行い完成度を高めました。
さらに音質面では、十分な試聴テストをくり返し"昇圧トランスの最高峰"の名にふさわしいものに仕上げました。
特長
1. 徹底した音質追求から生まれた基本設計。
トランス・コアには、徹底した素材管理のもと、厳しいスペックをパスした特殊形状大形パーマロイ薄板を積層で採用。トランスクオリティの基礎となる透磁率は、低音域において従来の約1.5倍(当社比)となるとともに、全域にわたり高い飽和磁束密度を獲得。
特殊分割サンドイッチ巻きにより、線間容量等を低減し、高域を伸ばしています。また、従来より約1.4倍(当社比)太い一次巻線を採用し抵抗損失を低減。高い飽和磁束密度とあいまってダイナミックレンジが広く、豊かな再生音を実現しています。
2. シンプル構造で音質を徹底追求。
MCカートリッジDL-1000A専用のため、インピーダンス切替スイッチや中間タップを全て排除し、極力シンプルな構造にして音質向上をはかりました。
3. 外部誘導振動ノイズに強い多重シールド構造。
トランス単体は、パーマロイシールドケースで2重シールドされ、更に厚肉砲金ケースに入れ、充てん材にて固定しています。また、LRチャンネルは別々の砲金ケース部で独立配線していますので、配線の交錯がありません。更に、入出力ピンジャック部を含め、ボディ全体を厚肉鋳造シールドケースでカバーしています。(重量約12?)
4. 適合カートリッジインピーダンス範囲が広い設計。
適合カートリッジのインピーダンス範囲が10〜40Ωと広く、グレードの高いユニバーサルトランスとしてもご使用になれます。
5. ローノイズ、低抵抗、低容量出力コード付属。
付属の出力コードには接続コードによる特性への影響を抑えるため、無酸素銅線を使用した、ローノイズ、低抵抗、低容量コードを採用し、接触トラブルを避けるため金メッキ高級ピンプラグを使用しています。
6. ネジ込み式ピンプラグで完全な接続が可能。
本体入出力ピンジャックには、ネジが切ってあり、コードを差し込んだ後、外側のネジ込みリングを回せば接続が完全になります。
主要規格
- 昇圧比:1:11.5(21dB)
- 出力バランス:0.5dB以内
- ー次インピーダンス:30Ω
- ニ次インピーダンス:4kΩ
- 負荷抵抗:50kΩ
- 周波数特性:5Hz〜200kHz
- 外形寸法:180(W)×113(H)×245(D)mm
- 重量:約12kg
- 付属品:ローノイズ、低抵抗、低容量出力コード