
ユッコ・ミラー インタビュー 新作『カインド・オブ・ピンク』を、デノンの“いい音“で聴き比べてもらいました

ジャズ界で注目を集める女性サックスプレーヤー、ユッコ・ミラーにデノンオフィシャルブログが独占インタビュー。現在全国の家電量販店で実施中のキャンペーン「良い音で聴いてみたいレコメンドナンバー」にも選ばれた新作『カインド・オブ・ピンク』のお話や、デノンのヘッドホン「リアルウッドシリーズ」の聴き比べをしていただきました。
ユッコ・ミラー プロフィール
三重県伊勢市出身のジャズ・サックス奏者。高校で吹奏楽部に所属しアルトサックスを始める。 在学中よりパリ・ウィーン等、海外演奏旅行、数々のコンテストにてグランプリ等受賞。 2016年9月キングレコードよりメジャーデビューする。河田健氏、川嶋哲郎氏、エリック・マリエンサル氏に師事。キャンディー・ダルファーの来日公演や、グレン・ミラー・オーケストラのジャパンツアーにスペシャルゲストとして出演を果たすなど、国内外のトップミュージシャンと多数共演。韓国やマレーシアなどのジャズフェスティバルにも出演し、世界的に高い評価を得ている。 2018年から始めたユッコ・ミラー公式YouTubeチャンネルの登録者は14万人、総再生回数は2,000万回を突破した。(2020年1月現在)
ユッコ・ミラー公式ウェブサイト URL:https://www.yuccosax.com/
初めてサックスを吹いた瞬間、「絶対プロになりたい!」って思った。
●ユッコさんがサックスに興味をもったのは、どんなきっかけですか?
ユッコ:3歳からピアノを習っていたんですけど、その時は親に習わされていた感じで、特に興味はありませんでした。サックスとの出会いは、高校一年の時に、友達に誘われて入った吹奏楽部。サックスを初めて吹いた瞬間に、その音がすぐ好きになって、「絶対プロになりたい!」って思ったんです。何か打ち込めるものが欲しいとずっと思っていたんですが「やっと自分の武器に出会えた!」って。
●プロになるためには、どのようにしてサックスの勉強をしたのですか?
ユッコ:学校の勉強は一切せず、全てをサックスに振り切り、サックスばかり毎日練習してました。テレビでサックスやジャズの演奏関係の番組があったら全部録画して見たりしてたんです。あと、地元が三重県の伊勢市なのですが、高2の時世界三大ビッグ・バンドのグレン・ミラー・オーケストラがジャパンツアーで伊勢に来て、とても感動したので、コンサートの後に彼らの出待ちをしたんです。そして出てきた時に「見てくれ!」って感じでサックスを吹きまくりました。それがきっかけで、グレン・ミラー・オーケストラのジャパンツアーに、スペシャルゲストとして出演させてもらいました。
●すごい行動力ですね。サックスというとクラシックという方向性もあると思うのですが、ジャズを志したのはどうしてですか。
ユッコ:家に1枚だけ、お父さんが買ったジャズCDがあったんです。いろいろなジャズの名曲がはいったベスト盤でした。その中に「Left Alone」という曲があって、ジャッキー・マクリーンが吹いているんですが、それがすごく好きだったんです。それまで聴いていた吹奏楽のサックスとは音が全然違っていて、すごく魅力を感じました。それがきっかけでジャズのアルバムを聴きまくるようになって、やるならジャズ、という気持ちになりました。
●最近はジャズミュージシャンになるために音大のジャズ科に行く人も多いですよね。
ユッコ:私は学校で勉強っていう感じが好きじゃなかったから、独学で頑張ることにしました。習ったので言うと、その頃「ザ・チック・コリア・エレクトリック・バンド」のサックス奏者のエリック・マリエンサルの音がめちゃくちゃ好きで、いつか彼に習いたいと思っていたんですけど、彼はアメリカ在住なので難しいって思っていたんです。そうしたらたまたま大阪で来日コンサートがあったので、ポスターに書いてある主催者の電話番号に電話して「エリックが来日している間に個人レッスンを受けたい」ってお願いしたんです。もちろん断られたんですけどね(笑)。でもあきらめられなくて、来日した時に彼が立ち寄りそうな楽器屋さんで待ち構えていたんです。そうしたら来たんですよ! そして本人に直接「レッスン・プリーズ」みたいな感じでお願いしたら、「OK、OK」って言ってくれて、空き時間にレッスンを受けることができました。それからは来日のたびにレッスンを受けて、一緒にライブもしました。そんな感じで体当たり的な感じでずっとやってきました。
ジャズを聴かない若い人にも、本格ジャズのすばらしさを知ってほしい。
●ニューアルバムの「カインド・オブ・ピンク」についてお聞かせください。このアルバムは3作目となりますが、このアルバムに対するユッコさんの思いをお聞かせください。
ユッコ:ファーストアルバムは、洋楽のカバーを入れたモダンジャズ的な仕上がりで、セカンドアルバムは「もしユッコ・ミラーがロック・フェスに出たらこういうセットリスト」みたいなコンセプトで、ポップスやロックの要素を入れたフュージョン的なアルバムでした。そして今回は、ずっとやりたいと思っていた王道のジャズのアルバムにしました。
●なぜ今回は本格的なジャズアルバムになったのですか。
ユッコ:私が本格的なジャズが大好きだったのでずっとやりたかった、ということに加えて、去年から私、YouTubeで発信を始めたんですけど、その視聴者のほとんどが中高生なんですよ。私がジャズをやることによって、ジャズを聴いたことがない若い人たちに対して、本格的なジャズを知るきっかけが作れると思ったんです。
●ユッコさんはチャンネル登録者数が13万人を超える人気YouTuberでもありますが、YouTubeを始めたのはどんなきっかけからですか?
ユッコ:最初は単純に YouTuberとして発信することに興味を持ったからです。アーティストであることは関係なくやっていたので、最初は「ツアーのお土産で買ったイナゴを食べてみた」など、音楽とは全然関係ない、アホっぽいことばかりアップしていました(笑)。でも見てくれるのは私のコアなファンくらいで、視聴者数はすごく少なかったんです。で、ある時、軽い遊びのつもりで高校の吹奏楽部でやった「宝島」を吹いてアップしてみたんですよ。「高校生ぶりにやってみた」っていう軽い感じで。そうしたら視聴者数がどんどん伸びていったんですね。それで、積極的に自分の曲の演奏をアップするようになったら、視聴者登録が13万を超えるぐらいに増えて、再生回数も1800万回になりました。結局、自分の音楽とYouTubeを組み合わせることで、私の活動を支えてくれる中高生のファンの子たちがたくさんできて、とても良い方向になったと思っています。
●自分の演奏を動画サイトに上げないアーティストも多いですよね。
ユッコ:私も最初は「自分の曲を演奏して動画投稿したらCDが売れなくなるんじゃないか」って心配しましたが、結果は逆でした。YouTube見てファンになってくれた人がライブを見に会場に来てくれるようになったし、YouTubeで演奏を聴いた人が私のCDも買ってくれています。やっはり、私を知ってもらうことが大切なんだと思いました。
●もともと音楽のプロモーションとして始めたわけではなかったYouTubeが、結果的にファン層を広げる大きな力になったということですね。
ユッコ:はい。普段は絶対ジャズを聴いていないような中高生の子たちが、YouTubeを見たことでたくさんライブに来てくれるようになりました。中にはお父さんと一緒に来てくれたり、30代や40代の主婦の人たちが「ユッコさんのYouTubeを見てサックスを始めました」って書き込んでくれたり。若者だけでなく幅広い層の方がYouTubeを見て私のライブに足を運んでくださるようになりました。
サックスの息遣いや演奏のテンションを、デノンのヘッドホンで感じてほしい。
●デノンのキャンペーン「良い音で聴いてみたいレコメンドナンバー」試聴曲「Blue Stilton」が収録されているアルバムはタイトルが「カインド・オブ・ピンク」ですが、これは何か、ピンクに対する思いがあったんですか。
ユッコ:ピンクはもともと好きな色で、それで髪の毛もビンクなんですけど(笑)。今回はメインストリームのジャズアルバムを出すので、ブルーノートレーベルみたいにジャズを連想させるものにしたかったんです。それでブルーノートじゃなくて、ビンクノートレーベルっていうことにして、タイトルもジャズの名盤の「Kind of Blue」からインスパイアした「カインド・オブ・ピンク」にして、私らしさを出しつつ、本格ジャズ感をアピールしました。
●試聴曲「Blue Stilton」は、ジャズマニアも唸るような熱演ですね。
ユッコ:はい。これはリハーサルもせず、いきなりレコーディングメンバーで「じゃあやってみよう」って録音したんですが、本当に疾走感がある感じ。共演者みなさんの熱量を感じる演奏です。ジャズファンの方にも、ジャズが初めての方にもぜひ聴いていただけたらと思います。
●では実際に、デノンのヘッドホンでご試聴ください。本日ご用意したのは、デノンのリアルウッドシリーズの3モデルです。ハウジングに天然の木を使っていて、それぞれ使っている木材も違うのですが、ぜひ聴き比べていただいて、感想をお願いします。まずはゼブラウッド採用のAH-D5200と、アメリカンウォールナット採用のAH-D7200を聴き比べてみてください。


ユッコ:(試聴を終えて)見た目は似てるけど、音が全然違うんですね。AH-D5200は滑らかな感じがしました。サウンド全体がきれいにまとまってます。AH-D7200は、より空間感と臨場感がありますね。すごい空気感というか、演奏している場の感じが伝わってきます。
●では、素材に高知産の孟宗竹を使用したAH-D9200を聴いてみてください。

ユッコ:(試聴を終えて)音色が一番細やかな感じがします。緻密でちょっと乾いた感じ。いい意味で繊細な感じがしました。
●リアルウッドシリーズを聴き比べてみていかがでしたか。
ユッコ:木の素材の違いでなんでしょうか。音が違って、それぞれ個性があると感じました。自分の好みとしては、AH-D7200の臨場感が一番好きでした。
●デノンの試聴機でユッコさんの「Blue Stilton」を聴かれる方も多いと思います。どのあたりに注目して聴いていただきたいですか。
ユッコ:試聴曲に選んでいただいた「Blue Stilton」は、全部アコースティックの編成です。それをこんな良いヘッドホンで聴いていただけたらとても嬉しいです。サックスの息遣いやレコーディング現場の雰囲気まで、全部聴こえてくると思います。ぜひじっくりと聴いてください。
一人でも多くの人にジャズを聴いてもらうために。
●今後こんなことをやっていきたい、ということがあればお聴かせください。
ユッコ:今、正直言ってジャズってあまり聴かれていないんですけど、それってすごくもったいないと思うんですよ。素晴らしい音楽なので。私は良い音楽とか良いジャズをやっていれば、お客さんが一人でもいいんだっていう考えではなくて、ぜひみなさんに聴いてもらいたいんです。そのためには今の時代に沿ったことをやっていかなきゃいけないと思って、それでYouTubeをやっています。でもYouTubeだっていつ無くなるかわからないですから、たくさんの人に聴いてもらうためには、どうすればいいのか常に考えながら音楽活動を続けていきたいと思っています。
●アニメソングのジャズアレンジもその一つですね。
ユッコ:はい。みんなが好きな曲を入れ込みつつも、ジャズも入れて、みんな同じような目線で「音楽」として聴いてほしいです。「アニソンだから聴いてみる」「この曲知ってるから聴いてみる」から始まっていいと思うんです。最初から「ジャズは難しい」って思わずに、どんな音楽も全部フラットに、音楽として聴いて楽しんでもらえたら嬉しいです。
●本日はありがとうございました。
(編集部I)
ユッコ・ミラー「Kind of Pink」
01) Blue Stilton <オリジナル> 02) 宝島 03) ‘Round Midnight 04) Confirmation 05) 海の見える街 06) Yes or No 07)「名探偵コナン」メイン・テーマ 08) In a Dream <オリジナル> 09) Poppin’Shower <オリジナル> 10) 人生のメリーゴーランド |
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Yucco Miller(Sax)/Simon Cosgrove(p)/Pat Glynn(b)/Gene Jackson(ds)/Dennis Frehse(ds)
ゲスト:David Matthews(p)/Luis Valle(tp)/川嶋哲郎(T.Sax)
初回限定盤 KICJ-90830[CD+DVD] ¥3,500+税
通常盤 KICJ-830 ¥3,000+税
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